作品を踊り切る時に重要なことの一つ。
それはメリハリです。
同じリズムの間隔や同じ力加減で踊る事は一つの表現にもなりますが、全体を通して観てみるとなんだか盛り上がりに欠けて・・
薄い印象になってしまいます。
「メリハリってなんだろう?」
子どもたちに聞いてみても返答は、
「う〜ん・・わかんない。」
難しいですね。
メリハリとは、緩めたり張ったり、抑揚があることを言います。
そこでレッスンの中でメリハリについてみんなで考えてみました。
イメージを言葉にしてみる
緩やかに柔らかく踊るところはどんな言葉にする?
こう質問すると、
「フワフワ!」
「プリン!」
「豆腐!」
たくさん挙がりました。
じゃあみんなのイメージに一番近いものを緩やかに柔らかく踊る時の代表の言葉にしよう!
話し合いの末”緩やか”に踊る時の代表言葉に決まったのは
「豆腐!!」
子どもたち自身が一番イメージしやすいことが重要なので近い言葉であればどんな言葉でも良いと思います。
では身体を固めたり、張るようなイメージの言葉は何にする?
「う〜ん、ピシッ!は?」
「アイスクリーム!食べる時最初は硬いよ。」
「石!」
「氷は?」
こちらもたくさん出ました。話し合って決まった”張る”代表の言葉は、
「氷!!」
言葉が決まったのであとはそのイメージを振付の中に当てはめていき、ここは豆腐、ここは氷といった具体的に繋げていきます。
約3分の振付にそれぞれ自由に豆腐と氷を当てはめていきます。
「そこは豆腐にしたんだね。」「そこは氷にしたんだ。」
なるほど〜と指導者も驚きと発見があり楽しい時間でした。
何よりもイメージする言葉が決まったので子どもたちは身体の力の加減をコントロールすることができ、とても踊りやすくなったようです。
また作品にメリハリがつき、全員の踊りがダイナミックで感情の見える印象に変化しました。
モダンバレエの振付は口で言うセリフと同じように意味や伝えたいことがあり、それは単なる動きやステップではないと言う事が理解できたようです。
今回はわかりやすく2つだけの違いでメリハリを作ってみましたが、たとえば豆腐の中にも何段階も柔らかさを考えてみても良いですし、豆腐でない違うもので新たに違うイメージを作ってみても良いと思います。
そのように作品の中でいくつものイメージや思いを重ねていくことで作品に深みが出てくると考えます。
テーマにあったものであれば尚更イメージしやすいですしエモーショナルに変化します。
単にステップをカッコよく見せることもとても素敵ですが、モダンバレエの良さは一つ一つの動きに意味やイメージが存在していることだと思います。
観る人がどう捉えるかは自由なので解釈に正解も不正解もないのですが、観客に対して一方通行にならないためにも演じる側のイメージは大切だと思っています。
自分にしか出来ない表現を追求する
同じ「豆腐」と「氷」でも他人と一緒ではつまらないですね。
私だけの「豆腐」
私だけの「氷」
ができるように日々追求していくことが大切なのだと思います。
自分は今何を考えているのだろう?
何を良いと思っていて何を悪いと思っているのだろう?
本当はこんなことがしたい!など等身大の「今の自分」が見えてくるはずです。
この作業は大人に限らずこの大変な現代社会を生き抜く子どもたちにこそ大切な作業だと考えます。
そして追求した先に見えてきた「本当の自分」は、みんな違ってみんなとても素敵なんだよ。とモダンバレエ を通して一人一人に伝えていきたいです。