最近よく耳にする様になった「ソーシャルディスタンス」。
「ソーシャルディスタンスって何?」そうお子さんから質問された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
小さな子どもたちにとっては難しい言葉ですし実際にそれが何なのかわかっている子どもは多くありません。
ソーシャルディスタンスとは、人と人との距離を取ること。人に近寄って話したりしないことなどが挙げられます。
最近ではフィジカルディスタンス(身体的距離)という言葉も用いられるようになりました。
おおよそ2メートル、最低でも1メートルは離れた方が良いとされています。
子どもが意識して行動するのが難しいコロナ時代のこの制約。
今回はあえてゲームにして実践してみました。
身体を使ってソーシャルディスタンスゲーム
ルールは簡単です。
指導者、お友達同士…室内にいる全員と、くっついてはいけない、密になってはいけないというものです。
ただ離れるだけではつまらないですしとっても簡単です。
ですのでここに少しダンス要素を加えていきます。
①ソーシャルディスタンスでお散歩 〜人間編〜
他の人と近づいてはいけないというルールの中で、いつも通りの自分の歩き方「人間の姿」で室内をお散歩します。
まっすぐ歩く人もいれば円を描きながら歩く人。なるべく空いているところを見つけて歩く人。
行きたい方向は自由です。
他のみんなも同時に室内をお散歩しているので、近づかないように気をつけないといけません。
「ソーシャルディスタンス」を守らなければ密になってしまう!
常に自分と他の相手の距離を1~2メートルに保っていなくてはなりません。
あえて動かない人がいても良いし、あえて近づきに行ってみる人がいても良いのです。
近づかれた人は離れなくてはなりません。
動かず待っていた人は他のみんながどんな行動をとっていて、どこにいるのか?をよく観察しタイミングを見計って動き出すことが重要です。
誰がいつどんな行動に出るのかわからない面白さがあり、まるで鬼ごっこをしている様な感覚にもなります。
②ソーシャルディスタンスでお散歩 〜動物編〜
四つ這いの猫や犬、小刻みに足を動かすリス、お尻をあげて四つ足の熊、身体をうつ伏せにして手足をよく動かすトカゲ、
上体をあげ手だけで進むアザラシなど様々な動物に成りきってお散歩してみます。
もちろん「ソーシャルディスタンス」をキープしながら。
動物編はとても大変です。
「人間」でのお散歩を経験しているため、なかなか思う様に逃げられなかったり進めなかったりするやりづらさがあります。
このやりづらいという感覚がなんとも言えない面白さであり、自分の身体を知る良い機会となります。
③ソーシャルディスタンスでお散歩 〜人間でも動物でもないもの編〜
人間でも動物でもないものって何かある?と子どもたちに質問してみるとたくさん答えが出てきます。
「ロボット!」「幽霊!」
面白いですね!
早速ロボットでお散歩です。
「私はロボット」と思ってお散歩してみると自分でも思いもよらなかった動きが生まれ、表現力を高める良いトレーニングにもなります。
これらを行っている間はBGMをかけていてもいいですし、かけていなくてもどちらでも楽しめます。
BGMをかける場合は、歩幅を音に合わせて進んでみるとリズム感を鍛えることもできます。
どのクラスでも実践してみましたが、みんなウキャウキャと大はしゃぎで「ソーシャルディスタンス」を意識することができました。
空間認識能力を鍛えることができる
空間認識能力とは、3次元における物体の位置や方向、大きさや間隔などを素早く正確に把握する能力のことです。
ソーシャルディスタンスゲームでは、
- 他の人は今どこにいるのか
- 自分と他の人はどのくらいの距離があるのか
- 自分がこの方向にいくと誰と近くなってしまうのか
- もし誰かとぶつかりそうになってしまったら、どの様に避けたらいいのか
などを意識しなくてはなりません。
この様な意識は空間認識能力をアップさせるのに大切なことです。
また
- あの人は今どんなことがしたいと思っているかな?
- あの人がこんな動きをするなら私はこんな動きをしてみようかな
など相手の気持ちを想像しながら自分はどう動くかを瞬時に生み出す即興力が鍛えられます。
これらの能力はモダンバレエやコンテンポラリーダンス、他のあらゆるジャンルのダンスにおいてもとても重要な能力です。
またダンスのみならず人と人とがコミュニケーションを取る上でも大切なのではないでしょうか。
昔は野山で駆け回り、鬼ごっこや缶蹴りなどをしてこういった能力を自然と鍛えることが出来ました。
現代は外遊びの時間が減り空間認識能力が低下していると言われています。
自粛期間の影響でさらに運動不足になる時間が増えてしまいました。
楽しみながら「ソーシャルディスタンス」の意味を知り、ダンスにおいて必要な感覚を鍛えていきたいですね。